こんなときのにほんご.47

「徐に」という言葉を見たことがあるでしょうか?

この言葉、実は、日本人でも意味を取り間違えて覚えている人が多くいる言葉です。

①ゆっくり

②突然に

どっちが正解だと思いますか?



☆追記☆

Podcastでは少し投げやりな形で終わっているので、補足しておきますね。

『発音のせいで間違われやすい』と、キャスの中でお話ししましたが、その理由についてです。


音と言う観点で言葉をみてみると、「徐に」は、「思わせぶりに」と語感が似ていますよね。

「思わせぶりに」は辞書では「いたずらに期待させるような、態度、言動、仕草などを表す表現。まるで気があるかのように振舞うさま。」とされているように、聞き手の期待・予想を外すような感じ】を含む言葉です。

そしてこの言葉は、日本人的には読んで字のごとく(見たままの意味)で、比較的意味のとり違いが少ない平易な語句。

このわかりやすい語句の音が、全く別の語句「徐に」にも使われてしまい、「予想を外すような感じ」=「突然」に通ずるニュアンスを含んだのでは、とされています。 


また、音以外の観点でも、「徐に」が使われる事例は

『静止状態から動き始めようとするとき』

『ある動作から別の動作に移るとき』

というように

「徐に動き出す」「徐に立ち上がる」「徐に振り返る」と言う使われ方が多くされる事実があります。なんとなく感じてもらえるかもしれませんが、これらは全て「何かの動きがある」言葉にくっついて使われていますよね。

なので、どうしても「不意に」「急に」という意味だと受け取ってしまいやすいと考えられているらしいです。


言葉って面白いですね!


こんなときのにほんご.47 「徐に」の意味

(2021/03/06(日)配信全文)

Hello Everyone! I’m Megumi. How’s going? 

Recently There’s a lot of pollen in the air.So my eyes are itchy. 

This Podcast tells you “how should you say this situation in Japanese?”and “What does Japanese word mean?” Let’s keep studying Japanese with me. 


こんにちは。めぐみです。皆さんいかがお過ごしですか? 最近花粉がすごいので、目が痒いです。 

この配信では「こんな時日本語ではなんていうの?」「この日本語の意味は何?」といった疑問に答えています。なるべく簡単なフレーズで、自然な日本語で伝えるようにしていますので、引き続き一緒に勉強を頑張っていきましょう! 

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第47回目は「徐に」の意味を例に、音の持つ印象についてお話ししていきたいと思います。 

皆さん、「徐に」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 

会話の中で使うことは減ってしまったかも知れませんが、日本語の小説なんかを読んでいるとたまに出会うこともある文字かと思います。 

この語句の正しい意味は「動きがゆっくりしている様、落ち着いて物事を始めること」なんですが、実は母国語話者でも意味を間違えやすい言葉の一つだったりします。 

では、どう間違えているのかというと…「突然に、不意に、いきなり」という意味だと思い込んでる人が多いです。 

でもちょっと待ってください。 

「ゆっくり」と「突然」って、全く逆の意味ですよね。 どうしてこんなことが起こるんでしょう。 

その秘密が、音の持つ印象に隠されています。 


日本語だけに限らず、言葉というものは音に乗って発されますよね。 実はこの「音」に引きずられて意味の取り違いが起こるパターンがあることがわかっていたりします。 

 もちろん、誤った文脈で利用している人の文章を読んで、その文章に合う通りに勝手な自己解釈をした人が多くいて、誤用が広がっていった、という可能性も否定はできませんし、実際その方がパターンとしては多いかと思います。 

 けれど、音そのものがある特徴をもっているという研究は、実はかなり昔から存在しています。 


たとえば、ラボフという言語研究者の面白いデータがあります。 

20世紀初頭のニューヨークではbearやcard のrの音は発音されないのが一般的だったそうです。

ただ、社会的権威が高い人がrの発音を意識的に取り入れるようになったので、年齢、人種、性別を超えて、その発音がニューヨーク全土に広まっていく動きが見られたそうです。 

実際、今のニューヨークで、どちらの発音が多いのかは私はちょっとわからないのですが、そういった無意識のバイアスによって、発音から受ける印象が形作られたり、変化したりしている、ということは確かです。 


ちなみに、日本でそれが顕著なのは、オノマトペという擬音語、擬態語です! 例を挙げてみると、ゴロゴロは大きな重いものが転がっていくさまを、ころころは小さな軽いものが転がるさまを表すというように、濁点が付く語句は大きい、強い、重いといったイメージを与える…のような印象操作です。 


さて、ここで、徐に、について改めて考えると、私なんかはやはり末尾が「に」で終わっていることがその印象操作に当たるのかな?と個人的には思うのですが、実際のところはどうなんでしょう。 


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それでは、第47回目の配信はここまでとします! 

That’s all for today.If you have any comments,please post it on my blog. See you next time! bye!

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