20/8/17 ジミン

晴れた日だった。

空は青く、空気は程よく涼しかった。

お母さんとお父さんと一緒に車に乗って出発した。車に乗って調子に乗った僕は、音楽を流し、後部座席の窓を開けて外に手を出した。

黄色い銀杏の葉が、雨のように降り注いでいた。落ちてくる銀杏の葉を掴もうと、素早く手を動かしたけれど、全然成功しなかった。

お母さんが振り向きながら言う。

「ジミン、そんなことをしていると怪我するわよ。怪我したら舞台に上がれなくなってしまうわ。」

僕は舞台の上を歩いていた。

上には真っ白な照明がたくさんあった。

ドンドン、と、リズムで床が鳴く。

僕はたくさんの友達とダンスを踊った。

共に盛り上がって、飛んで、共に着地して、もう一度左に回ってから、向かい合ってお互いを見る。

友達も、僕も、息が上がっていた。

それでもお互いを見て、笑った。

拍手が湧き起こった。

客席に向かって、頭を下げた。

少し離れた所で、お母さんとお父さんが立ち上がって拍手をしていた。

僕を見て微笑んだ。

……

目を開けると、すぐに病室の天井が見えた。

涙が出た。

夢だと、わかってはいたけれど、目覚めたくなかった。もう少しだけ、その拍手の中に、その銀杏の葉の下に、いたかった。

間違いなく朝はやって来て、夢は、消えた。

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