24/7/22 ホソク

「ソクジン兄さん!兄さんのお父さんに一言でも言ってもらえませんか?兄さんが知っている通りなんです!」

「そこが何だって言うんだ?」

「養護施設は家ですよ。そして、そこに住んでいる子供たちは、養護施設がなくなったらバラバラになってしまうんです。再開発をしたら、養護施設がなくなってしまう可能性もあります。」

コンテナに入ってすぐ、何の説明もなしに言葉を吐き出した。

みんなが驚いて僕を見つめた。

ソクジン兄さんは、一人だけ全く表情をかえなかった。

僕はほとんど泣き出しそうになっていたが、兄さんは、どうしようもないと言うように僕を見た。

「もう決まったことだから。僕にできることは何もないんだ。」

兄さんは、一歩、また一歩と、とてもゆっくりと近づいてきた。

その一歩一歩が、兄さんと僕との間の、越えられない一線を表していた。

兄さんは「決定する側の世界」に属していて、僕は「その決定に抗議すらできない世界」に属しているのだ。

僕はソクジン兄さんのことを友達だと思っていたのに、多分、現実には、兄さんと僕の友達関係は成り立っていなくて、一人だったのかもしれない気がした。

僕は兄さんに対して怒りを覚えた。

兄さんがどんな目にあっても、叫んで、助けてくれと懇願しても。

でも、その後のことはわかりきっていた。

ただ話をするだけで。

僕ができることは何もないんだ。

だから、それをしているのは兄さんでも、これは兄さんへの怒りではなくて、自分への怒りだった。

何もできない、何もない存在である、自分自身への怒りだ。

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