18/7/22 ナムジュン
建物に上ろうとしてみた。あちこちに灯りがついていた。市庁の近くにあるせいか、会計法律事務所の看板が多かった。
一番上の階、5階には、全てに灯りがついていた。
数週間の間に、テヒョンと俺は、ソンジュ市の高い建物全てに上ってみた。
探しているものが何なのかは、自分たちにもわからなかった。手がかりはテヒョンの夢だけだった。
夢の中で見た、缶コーヒーと四つ葉のクローバー。
その手がかり二つだけで、俺たちは一晩中、建物を上ったり下りたりしていたのだった。
何日も雨が降った。
最初は傘をさして建物を探していたけれど、最終的には、雨に濡れることにした。
そうしていると、喧嘩に巻き込まれたりもした。
ずぶ濡れのまま建物を上っていると、不良少年に間違われて追い出された。
屋上の扉は、ほとんどの場合ロックされているし、階段の踊り場の窓からは、確認することはできなかった。
もう一度、建物を見上げ、これが見つけたいものであるのかを考えた。
窓には、お馴染みの名前が書かれている。
国会議員 キム・ジョンジュン事務所
「この人、誰ですか?」
テヒョンが俺に聞いた。
「知りませんか?」
テヒョンが見て回った。
テヒョンは大人しく、天真爛漫で、何も知らないとでも言いたげに俺を見つめた。
キム・テヒョンには、時々こんな風に困らされる。
俺はとてもじゃないが、怖くて覗けなかったけれど、キム・テヒョンは、躊躇うことなく覗いた。
誰も手を差し伸べていなくとも、キム・テヒョンは頑なとして手を繋いで離さなかった。
俺は答えた。
「ソクジン兄さんのお父さんだよ。」
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