23/7/22 テヒョン

"俺たちの教室"の真ん中に進んでゆく。

携帯電話のフラッシュライトで照らせば、古い机と、グルグル巻きのプラカードがあった。

誰も出入りしなくなった教室は、さらに古くなっていた。周囲を見回す。ここで何があったのだろうか。

ジミンは少し離れた所で、壁の前にしゃがんだ。ユンギ兄さんは、ピアノの椅子に腰掛けた。ナムジュン兄さんは、指で窓に何か書いた。

「高校の時でしたね。夜中に学校で、こんな風にしたのは。」と、しばらくして、ナムジュン兄さんが言った。

「高校なんて、二度とお断りだ。」ユンギ兄さんは、そう言って、ニッと笑った。

「世界は、どんな形をしているんでしょう。」ナムジュン兄さんが言う。

「世界は、俺たちが作ったものじゃないだろ。生まれたようなもんだ。」ユンギ兄さんが答えた。

「では、どうして俺たちは、こんな世界に、なんの方法もなく投げ込まれて、生きているのでしょう。」ナムジュン兄さんが言った。

「あ、ここを見て。」ジミンが身体を起こしながら言う。「ここ、ソクジン兄さんの名前がある。」ジミンの指差した場所に近づいた。

壁にぎっしり書かれた落書きの中に、いくつか人の名前があった。

フラッシュライトで、それらの名前を照らして回る。

ジミンが他の名前の一つを指差して言った。「これ、精神病院のおじさんだよ。他の名前は、わからないけど。」

ユンギ兄さんは、また別の名前を指差した。「"チェ・ギュホ"。行方不明者だ。」

その名前の下に書かれている文章をナムジュン兄さんが読んだ。

『全てがここから、始まったのだ』

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